
そのときがきたら
「そのときがきたら、私は闘うよ。」
君は言った。
「私は傷つくのも、死ぬことさえ、怖くないよ。」
くだらないと思った。
本当は怖いんだろう、知ってるよ。
そう言おうとして、君の目を見て、息を呑んだ。
「私はこの命を懸けて、闘うって決めた。
闘うのは怖くないから、だから最前線で闘う兵士さんでいい。」
君はまだ強い目をしていた。
「だから、そのときがきたら、応援してくれるでしょ?」
有無を言わせない口ぶりなのに、どこか試すような雰囲気で。
僕は何をすればいい?
思わず前のめりになって、聞いた。
「そうだねぇ、あなたは、傷を癒してくれる看護婦さんでいい。」
なんだよ、それ。
どうせ僕はきっと、君みたいに軽やかに戦場を舞うことはできないよ。
仕方ないから、甘んじて受けるさ。
どんな傷だって、全部癒してあげるんだ。
消毒なりなんなりやってやる。
だけどその代わり、君が痛がって泣いたってやめてあげないんだからね。
「白衣の天使、かわいくって、お似合いよ。」
ようやく、君はいつもの声で笑った。
その方がよっぽど君らしくて、僕も笑った。
早く君の頭の中から、ナース姿の僕が消えるように、
ちょっとだけ強めにおでこを指で弾いてやった。
そのときがきたら、君はその存在を懸けて、この居場所を守る。
自由の名の下に、何にも屈せぬ強さをひっさげて。
考えただけで嬉しくなった。
ほら、おでこ痛がってる場合じゃないよ。
君はもうこれ以上、隠れなくてもいいんだって。
顔を出して、声を出して、立ち向かっていけばいい。